人気機種の本機も私のお気に入りのアナログレコードプレーヤーです。
このプレーヤーは故長岡鉄男氏が特に高く評価していたQL-7Rの弟分になります。
長岡氏が本機をどう評価していたかはわかりませんが、とてもハイCPですので間違いなく高く評価していたのではないでしょうか。
新品時には人気のカートリッジZ-1Sの楕円針版Z-1EBが付属していましたがありません。
そこで今回は即決特典として手持ちのZ-1EBをお付けします。針は元箱付きのとても希少な新品でごく短時間のテスト使用のみです。
Z-1EBは単売品の上級機Z-1Eからテンションワイヤーを省略し、無垢楕円針を接合楕円針に変えたプレーヤー付属用機種です。
さらに即決で購入された方には特典としてオーディオテクニカAT618ディスクスタビライザーをお付けします。
https://www.audio-technica.co.jp/product/AT618
AT618はテクニカの定番スタビライザーのロングセラーモデル。現在もほぼ同じ後継機が販売されています。
ゴムで覆われとても持ちやすく適度にダンプされ余計な音は付きません。やや重めでしっかりとレコードが保持されます。
重めのスタビライザーは非力なモーターには負担がかかってしまいますが強力モーターの本機では問題ないでしょう。
私はスタビライザーは各種持っていてテストしていますが、やはりこのAT618がいちばん安心してお勧めできます。
中古ですが傷も殆ど無くクリーニングしてとても綺麗。取扱説明書のコピーもお付けします。
即決価格は少し高額にはなりますが絶対に損はさせません。
かつて私はやはり長岡氏が高く評価していたYAMAHAのYP-D7を使っていました。
その後、VictorのTT-81ターンテーブルを使って長岡式の積層合板プレーヤーシステムを作りましたが
モーターは兄弟機のQL-7RやYP-D7、TT-81などは全部同じです。
本機のモーター若干簡素化されてハイCP化、トルクも十分に高く基本的には同じ系統のビクター自社開発の物です。
当時、ビクターは自社機はもとよりヤマハやマイクロなど各社にモーターを供給していました。ヤマハのあのGTシリーズもビクター製との事です。
一時ヤマハもマイクロもDD第一人者のTechnics/松下製のモーターを使い、ビクターも松下製のモーターを使っていましたが
自社で高性能のモーターを開発した後、高性能と高い信頼性から各社が採用しました。
TT-81のプレーヤーはとても気に入って使っていましたが他のビクター製のプレーヤーもQL-7Rなどとても機になる存在でした。
QL-7Rや本機を入手してやはりどちらも高いC/Pの非常にバランスのとれた高性能で音の良い機種と納得したものです。
QL-7Rは単品のTT-71ターンテーブルを使用したマニア好みのプレーヤーですが
本機では専用設計にする事でさらにCPを向上し、専用ターンテーブル部使用のためシンプルでとても美しいものとなりました。
本機に搭載されているトーンアームは単売品のUA-5045の簡易版です。実質的には性能や音などは同等といえるでしょう。
また、UA-5045の上級機のUA-7045といえば長岡氏が『このアームは値付けを間違えたために売れなかった
倍の価格をつけていたらもっと売れただろう』と仰ったものです。
そのため発売中はあまり売れなかったのに販売終了後に価格が上がり、今でもとても人気があります。
実は7045の簡易版の5045の方が高価で複雑なヘリコイド式の高さ調整機構が無い分しっかりとキャビネットに固定され
音的には有利になります。長岡氏もそう仰っておられたようです。
本機以前のJL-B44などと比べるとキャビネットは積層合板仕上げから一般的なパーティクルボードにプリントシート
を貼り付けた物になりましたがとても美しく豪華な仕上がりです。ここも人気のポイントでしょう。
ビクターでは型番サフィックスのRはローズウッド仕上げの事です。ビクターのプレーヤーといったらやはりローズウッドですね。
プリントシート貼りですが仕上げは本当に丁寧な美しい仕上がりかと思います。
本機も複数台入手したうちの動作に問題の無い機体をクリーニング、メンテナンスしたものです。
モーター軸と軸受けはローターを外して古い油をふき取り新たに超潤滑性の特別なオイルを注油しました。
タバコのヤニなどで茶色く汚れる事の多いプレーヤーですが全体をコンパウンドで磨き特殊なワックスで仕上げました。
もちろん私はタバコは吸わないのでその後に匂いなどありません。本体には目立つ傷はほとんどないと思います。
アームやプラッターなど金属部は金属磨きやコンパウンドで軽く磨きました。少し錆が出ていたのを磨いて落としましたがクスミはあります。
ダストカバーもコンパウンドで軽く磨きました。光線の影響か少し黄ばんでいます。
もっと古い機種のダストカバーはアクリル製なので黄色くはならないのですが本機はポリカーボネイト製でしょうか。
車のヘッドライトのレンズなどのように光で焼けて表面が変色するようです。
特殊なクリーニングワックスで仕上げて汚れは無く傷も少なくとても綺麗です。
本機などのアームUA-7045シリーズで問題になるウエイト部はしっかり調整して下がりは全くありません。
アームは一度取り外してパーツごとに丁寧に磨きさらに軸部もクリーニングして感度良好です。
アームは古くなると軸部にヤニなどが付着して感度が落ちます。ここをクリーニングすると驚くほど軽く動くようになります。
アームリフターもグリスを交換して問題なくゆっくりとスムーズに降ります。使いやすいダイヤル式アンチスケーティングも問題ありません。
アームは気を付けないとコネクター部の取り付けネジが緩んでいる事があります。ここも増し締めして問題はありません。
本体キャビネットのパーティクルボードは経年劣化で崩れやすくなりますが本機は特に問題ありませんでした。
さらにこの後も劣化しないよう底板や木口にはクリア塗装を施しました。
底板もクリア塗装をかけてあります。他の出品でここまで気を使った物は見た事がありません。
しかしこの機種や似た仕様の多くのプレーヤーを取り扱っていますと劣化してボロボロになった機体も多いのです。
使われた方の環境によるのでしょう。まさか屋外で雨に当てたわけでもないでしょうがお部屋がかなり潤っていたのでしょう。
住む人にとってはある程度の潤いは大切ですがオーディオ機器や電器製品にとっては大敵です。
化粧シートは剥がれたり欠けたりしやすいですが殆ど問題なく、すき間ができやすい木部角もほとんど問題ありません。
本機はサービスマニュアルに従い、オシロスコープを使って調整しています。
よく、この機種などでは調整ずれでクォーツロックが外れた物を適当に調整して済ませてしまう人を見かけますが
ここはオシロスコープを使って調整しないといけません。
また、当時のプレーヤーなどによく使われた松下製の赤黒のマイクロスイッチは経年劣化で接触が悪くなります。
特に動作には問題はありませんでしたが、念のため抵抗値をチェックしながら信頼できる接点復活剤にて接点クリーニングしました。
そのほか、電源コンデンサを基板に止めている接着剤は劣化してトラブルの原因になります。
古い接着剤が電極に付着していると電極を腐食させたりショートさせるのです。ここはもちろんチェックして余計な接着剤は取り去っています。
コンデンサ近くのツェナーダイオードに接着剤がかかって壊れている事がよくあります。本機では異常ありませんでした。
電解コンデンサはまっ先に劣化すると今でも信じて居られる方が多いのですが
実際に取り外してチェックしても容量やESR値が異常だった事はまずありません。接着剤を液漏れと勘違いした人が広めた噂でしょう。
実際にメンテナンスすれば電解コンデンサより半導体の方が劣化している事が多い事がわかります。。
もちろんチェックしても容量、ESR値など異常はなかったので元に戻してあります。
その他、回転も安定してストロボスコープも33回転、45回転も問題なく止まります。ブレーキも問題ありません。
年式なりの細かいキズ、スレなどがありますが全体的にとても綺麗かと思います。添付の画像をよくご覧になってご検討ください。
写真は下手で申し訳ありませんが多めにupしておきました。
付属品はゴムシートと手持ちのEPアダプター、ゴムシートはクリーニングして保護剤をかけてあります。
さらに即決で購入された方には純正カートリッジZ-1EBとAT-618スタビライザーをお付けします。
針は元箱に入れて発送します。カートリッジへの取り付けはご自身でお願いします。
電源コードと出力コード、アースコードは直出しなのでもちろん付属します。画像にはレコードが写っていますが撮影用ですので付属しません。
取扱説明書はありませんが参考に上級機のQL-7Rのコピーと海外で販売されていたアームレス仕様のQL-50のマニュアルコピーをお付けします。
アームはQL-7Rとほぼ同じ、ターンテーブル部はQL-50と同じなので使用方法は同一です。
ビクターは国内向けにも実に多くのプレーヤーがありましたが海外向けには国内では販売されていなかったモデルも多く存在したようです。
即決価格は少し高額にはなりますが絶対に損はさせません。素晴らしいプレーヤーに見合う私のお勧めの組み合わせです。
オート機構など全く無いマニュアル式ですので慣れた方なら問題ありませんが、はじめてレコードプレーヤーをお使いになる方はアームのバランスのとり方や針圧の掛け方、アームの高さの合わせ方、カートリッジの取り付け方など一般的なプレーヤーの使い方をよくお調べになってからお使いください。
よくプレーヤーで問題になるのはカートリッジの取り付けによる接触不良とアームの高さ調整ですね。
アームやアームリフターの高さによっては始めは良くても終わりの方までかけられない事などあります。
カートリッジの厚みはそれぞれ微妙に違いますのでよくチェックしてください。
ビクターはもともと
日本ビクター蓄音器といったくらいでレコードプレーヤーの専門会社だったのです。
この機種の前にはJL-B77には自社開発の最高レベル(現在でもこれを超えるのはあるのか?)のモーターを開発したりこの後ごく一時期ACモーター(JL-B61/TT-61など)を開発採用したり、本機などに使われたDCモーターを開発採用しその後のメインモーターとして自社機はもちろんヤマハやマイクロなどにOEM供給する事になります。
本機以前には松下製のモーターを搭載した機種もありました。この松下製のモーターはTechnics機はもちろんヤマハやマイクロなど各社が採用しました。
松下を手本によく研究して
短期間に試行錯誤の末、各社に多数供給できるモーターを開発したのだと思います。
短期間にこれだけ多数種のモーター採用の機種があるのはプレーヤー専門会社としての意地があったんでしょう。
この機種はクォーツロックですので回転は非常に安定しています。これは本当に安心ですね。
レコードプレーヤーは本機のようにしっかりと重く丁寧に作られていれば、まず良い音がします。
その中ではアームがいちばん音に影響するかもしれません。
本機のアームは単売品UA-5045をプレーヤーシステム向けにリファイン簡素化した同等性能品といえるでしょう。
完成度が高く、音の良い、機能的で美しいアームと思います。
上級機のQL-7Rはとても素晴らしいプレーヤーですが品質を落とさず合理化で低価格化した本機も素晴らしい出来栄えです。
QL-7Rよりこちらの方が音が良いとされる方も居られるようです。
ビクターのプレーヤーといえばやっぱりこのローズウッドですね。とても美しく豪華です。